自粛要請で家賃が払えないときどうする??
飲食店オーナーが家賃を支払えないと法律違反になるか
自粛要請でおみせをしめている事業者のかた、家賃で苦労していませんか??
「家賃がなかったら、だいぶ生活が楽になるのに・・・」
家賃を払えなかったら法律上どうなるのか、解説します。
家賃を規定しているのは民法です。最新の文献で調べてみました。
使用停止を「要請」された場合は「賃借物が滅失するに至らなくても、客観的にみてその使用収益ができなくなったとき」(大阪高判H9.12.4)に当たると考え、危険負担により賃料支払義務も消滅し得る
こちらは、 事業者(お店の人)にゆうりな解釈ですね!!
裁判がどうなるかわからないのですが、法律にはいろんな解釈があり、
最高裁で大逆転!!みたいなこともたくさんあるので知識をつけておきましょう。
民法上の危険負担とはなにか
民法の危険負担とは、
どっちも悪くない場合、お金のやりとりとかってどうします??っていうことを定めています。
平成29年改正前民法(以下「旧法」)では、当事者双方の責任によらずに、債務者の債務が履行不能となった場合には、債権者の反対給付債務も消滅することとされていました。
旧民法536条1項です。
第536条
1 前二条に規定する場合を除き、当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を有しない。
2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。この場合において、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。
これ非常にわかりにくいです!!
わからなくても気にする必要がありません。条文が悪いのです。
つまり、言い換えると、
家主も、借主もどちらにも責任がないのに、台風や自粛要請で家賃が支払えなくなったとような場合にどうなるのか、を決めているのが、危険負担の条文です。
たとえば、台風等の天変地異により、借主が家賃の履行が不能となった場合には、債権者である貸主の義務も当然に消滅することになっていました。
イメージとしては、
ビルが崩壊してそもそも住めないんだから、家賃も支払えないし、家主の側も、急いでビルを建て直して、貸し出す義務はないよね!!
という考え方です。
きわめて普通のことが書いてあります。
改正民法では、
(債務者の危険負担等)
第536条
1 当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。
2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。
あんまり変わっていないように読めますが、何が違うかというと、
契約を解除するかどうか、(立ち退き交渉などをするかどうか)の以前に、
反対給付の履行拒絶ができる・・・
という風に、履行を拒絶する権利の存在を真正面から定めました。
要するに よくわからない状態 を避けたんですね。これが改正のポイントです。
地主さんとしては、一切賃料をはらってもらえなくなったのだから、積極的になにか義務を負わないということを確認できた条文だと思います。
賃料払ってもらえないのに、ゴミ捨て場とか面倒見てやらないかんの???
次の借り手を決めたらいけないの??
というもやもやを解決してくれたといえるでしょう。
賃料が支払えないと損害賠償をうけるか?
借主は賃料を支払わないと違法になるのか
では、借主は賃料をしはらわないとダメなんでしょうか。
自粛を余儀なくされているという状況が、台風等の天変地異
と同じといえるか、ということです。これは解釈が分かれますので、世の中の動向を見ておく必要があります。
過払い債権がブームになったように、最高裁の判例がどうなるかで大きく変わるかもしれません。
判例によっては、借主は賃料支払わなくていいよ!!
といっている判例もあるので、本当にどうなるかわかりません。
逆にいうと、社会派の弁護士さんが、旗振り役になって、
自粛による賃料を支払わない飲食店原告団!!!を作って、裁判をするかもしれないですよね。
なにが正しいのかは将来にならないとわかりません。
いま支払いをどうするべきか???
では、今のように、支払っておくべきかどうかわからないときはどうするか。考えてみました。
現実の世界では、賃料滞納者となって、保証会社ブラックとなるのが怖いので、多少遅れながらも支払いを続けることが大事です。
「自粛しているんだから、支払えなくて当たり前だろ!?!?」
といった態度をとると、
法律云々以前に やばい人 と思われるので、
「自粛中はこういう事業計画で、こういった資金繰りをしています、何か月後には黒字になりますから、それまでは、12日遅れでの家賃支払いで勘弁していただけないでしょうか」
といった低姿勢での交渉が現実的だと思います。
相手方に入金根拠を示すことが大事なので、
持続給付金が6月10日に振り込まれるのでそれを資金に支払います!!
という具体的な入金根拠をだしてあげましょう。
それだけで、あなたは優秀な滞納者になるでしょう。こうすれば、未納家賃による損害賠償(遅れたことに対する罰金)は少なくとも請求されにくいでしょう。
まとめ
まとめ
自粛によりお店を閉じた場合、最終的に、家賃債務を支払わなくてもよい場合はありうるが、
いまは不明。
したがって、今は、遅れながらもきちんの入金をしていく相談を家主にすることが大事。
ということになります。